2012年1月27日、トヨタ財団(新宿)において、NPO支援財団研究会が開かれ、田中弥生理事、堀江良彰理事が講師として、エクセレントNPOの評価基準について説明する機会をいただきました。

本研究会は、助成財団関係者からなる研究会で125回を重ねているものです。
まず、エクセレントNPOに関する講義を50分、残りの50分ほどで質疑応答、議論が行われました。活発な議論が行われましたが、その内容も助成経験、企業評価の実務経験に基づくもので、基準の見直し、普及方法などについて実効性あるご意見をいただきました。

 

以下がその論点です。(市民会議からの回答についてはほぼ省略)
・E-NPO基準の難易度は高いが、どの程度のNPO法人を対象と考えているのか。
・本基準は非営利界に一石を投じたと思うが、具体的にどのように用いて活動しているのか。
・本基準を悪用、目的外の使われ方をされる可能性はないか。団体のレイティングなどに使われることはないか。
・エクセレント・カンパニーが思い出されるが、本来、基準を目指していることと、エクセレントであることのドメインが異なる。リーダーのパッションや創造力などは本基準でみることはできない。
・本基準はエクセレントというよりも、組織経営の基礎的な目安を示したものであるから、「経営改善のための基準」という名称のほうがフィットしているのではないか。
・33基準をすべてクリアしたとしても、魅力的な団体とは限らないのではないか。
・「信頼される7つの条件」「ドラッカーの自己評価手法」など、様々なものに着目してきたが、NPO界に定着しているようにはみえない。E-NPOの普及をめざすのであれば、出版や研修だけでは足りないのではないか。
・自己評価を補助するファシリテーターなどの指導者が必要なのではないか。
・評価結果をレーダー・チャートなど可視化して示す工夫が必要。また、すべての団体がきれいな5角形になるのが良いことではないだろうから、様々なパターンがありえることも伝えてゆく必要がある。
・福祉分野で社会的起業支援を行っている。こうした団体をみていると、ボランティアや寄付者以外に様々なサポーターが存在している。市民性には、こうしたサポーターも含めたほうがよいのではないか。(広義の意味のボランティアであることを説明。)
・助成する側としては、NPOの評価尺度が欲しいと考える。
・Yes/Noの回答方法ではもったいない。何をもって工夫しているのかを記述してもらったほうがよい。
・エクセレントNPOという名称だが、内容はBasic-NPOであると思う。
・エクセレントNPOという名称ゆえに、一人歩きするのではないか。自己評価の普及に集中したほうがよいのではないか。
・田中常務理事(助成財団資料センター)より、本基準を助成申請に使う際には、どのような手続きが必要かという趣旨の質問があった。本名称は商標登録、基準については知的所有権申請中であるが、本件、申請に使ってもらうことについては市民会議としても積極的であり、事前に相談してほしいと回答。