「エクセレントNPO」をめざそう市民会議 審査委員会

1. エクセレントNPO大賞とは

 1998年のNPO法制定以来NPO法人数は4.8万団体を超えましたが、社会の自発的な課題解決に取り組む以前に、その大多数は経営的に力が乏しく、市民とのつながりが弱く、 市民社会を大きく変える力には未だになっていません。

 「『エクセレント NPO』をめざそう市民会議」(以下「市民会議」) では、こうした非営利組織の組織力としての脆弱性や市民とのつながりが希薄である点に当初から問題意識を持ち、その質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会への良循環をつくり出すために、非営利の世界での社会変革のモデルとなるNPOの要因分析を続けてきました。そして、3年間にわたる作業の末、2010年には望ましい非営利組織像としての「エクセレントNPO」の概念を打ち出し、「市民性」「課題解決力」「組織安定性」の3つを基本条件とする、組織評価の体系としての「エクセレント NPO」の評価基準を公開し、その普及活動に取り組んできました。本大賞の表彰は、そうした「エクセレント NPO」を目標にして非営利組織が競い合い、その動きが市民に可視化されることで、市民社会に大きな変化を起こすことを目指しています。

2. 「エクセレントNPO」大賞の実施状況

(1)賞について

 「エクセレントNPO」大賞は、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」から構成されています。これは「エクセレントNPO」評価基準の3つの基本条件をもとに作られたものです。そしてこの3つの賞の受賞者から最も優れている組織を「エクセレントNPO大賞」受賞団体として選びます。

(2)応募方法

  応募者には、エクセレントNPO評価基準の16基準に基づいて自己評価を行い、その他の応募書類とともに提出していただきました。

(3)応募期間

  2013年8月16日より応募を開始しました。10月16日を締切りとました。

(4)応募結果

  応募総数は173件で、昨年に比較して実数では3割増の応募をいただきました。

3. 審査の方法

 審査委員によって予備審査と本審査が行われましたが、その工程は第1回よりもよりきめ細やかに実施されました。

(1)予備審査

 予備審査は、応募団体がエクセレントNPO大賞の3つの部門賞のうち、どれに最も適しているのかを判断し、各賞の審査対象として振り分けることを目的に行われました。すなわち応募書類の提出状況、自己評価の採点結果を整理し、ホームページなどから概要や情報開示状況などついて確認しました。これらの結果をふまえ、応募団体を「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」のカテゴリーに振り分けました。

(2)本審査

 審査委員会は3回開催されました。第1回委員会では審査の方針、各部門賞の審査基準についての確認を行った上で、各部門(市民賞、課題解決力賞、組織力賞)の担当を決めました。その後、審査委員は担当分について所定の評価フォーマットに基づき書類審査を実施しノミネート候補を提出しました。第2回審査委員会では、各委員が提出したノミネート団体候補を評価結果に基づき審議し、各部門のノミネート団体(5団体x3部門)を決定しました。そして、審査委員はノミネートされた15団体について、再度書類審査を実施しました。その間、審査委員会が必要と認めた事項については、事務局より団体に連絡をして追加的に情報を頂きました。第3回審査委員会では、各審査委員が行った15団体の審査結果に基づき、市民賞、課題解決力賞、組織賞の団体を選出しました。さらに、これらの受賞団体から、「エクセレントNPO大賞」を決定しました。

 本審査の他、予備審査や各審査委員による書類審査を含めると全6工程に及んで審査が行われたことになります。  審査は、「エクセレントNPO基準」に基づき行われましたが、次の点についても議論されました。

 第1に、自己評価の適切性です。「エクセレントNPO大賞」は、その目的を自己評価の普及と質向上に向けて努力している団体の「見える化」の2つを掲げています。したがって、本評価基準に基づきどこまで自らの現状を客観視し、長所と課題を適切に見出そうとしているかが議論になりました。

 第2に、より多くの組織に受賞やノミネートの機会を享受してもらいたいという点です。そのために受賞やノミネートの重複は避けるように努めました。

 第3に、被災地で復興に努めている団体についてです。「エクセレントNPO」基準は比較的、熟度の高い組織を想定して作成されています。したがって、創設間もない団体にとってはハードルが高くなることがあります。被災地の団体にも広く声掛けさせていただきましたが、どこまで応募していただけるかは未知数でした。しかし予想以上に多くの応募をいただきました。また、自己評価の内容は適切であり、被災地外の団体と同じ遡上に乗せて議論させていただくことができました。それだけ成長著しいことの証かもしれません。

 第4に、政治的な中立性、資金調達の透明性に関するものです。すなわち、特定の政党や政治家との関係や資金調達の透明性についても複数の観点から議論しました。